「フラッシュバック」
うつ病とフラッシュバック
さて、再びうつ夫の話に戻そう。
うつ夫は、20代でうつ病を発症し、その後7年程薬で治療をしていた。その頃、悩まされていた症状の一つとして「フラッシュバック」というのがある。
それは、過去のトラウマ体験の記憶が、突然鮮明に脳裏に蘇ってしまう症状のことだ。
パニコがうつ夫と出会ったのは、まだうつ夫が治療中の頃だった。当時は、うつ病がどのようなものかも知らなかったのだが、この「フラッシュバック」を理解するのも、とても苦労した。
パニコの頭の中は、嫌な思い出は記憶から消去する、という風に都合よくできている。だから、なぜそんなに過去に囚われてしまうのか不思議でしかなかった。
パニコ的には「そんな嫌なこと忘れちゃえばいいのに」と思ってしまうが、そう都合よくはいかないらしい。
否定的な言葉や態度が引き金に
うつ夫の場合、四コマで描いたように「うそだ」とか「ダメだ」とか、そういった否定的な言葉や態度によって「フラッシュバック」を引き起こすことが多い。
特に悪意もなく、何気なく言った言葉や態度であっても、彼の記憶を刺激してしまうこともあるのが厄介なところだ。
蘇るのは、何か一つ特定の出来事ではなく、過去の否定されたトラウマ体験が、走馬灯のように次々と思い出されるのだそうだ。
その時のうつ夫は、どこか違う世界に行ってしまっているような目をしていた。普段は穏やかなうつ夫が、まるで別人のような表情になるため、最初はとても驚いた。
圧倒的吸引力「過去魔神」の威力
一度フラッシュバックが起こってしまうと、なかなかその記憶から離れられなくなる。
その引力は、ダイソンの掃除機と並ぶ圧倒的吸引力だ(笑)
そのため、パニコは、このフラッシュバックを「過去魔神」と呼んでいる。突然にやってきて一気にうつ夫の心を奪い去っていく、強烈な威力なのだ(汗)
心に傷が癒えないままに
なぜ、フラッシュバックが起こるのか。
その理由は分からないが、
彼の中で、否定されること、誤解されること、そのような体験が心に傷をつくり、その傷が癒えないままに積み重なってしまっていたことは確かだろう。
記憶とは、本当に不思議なものだ。
うつ夫のフラッシュバックをそばで経験し、記憶が時には、このような大きな力を持つこともあるのだと思い知らされた。
過去が変わった!
今でも尚、過去の記憶に引っぱられてしまうことはあるが、以前と比べて随分と自分で整理できるようになったようだ。
それは、地道に自分自身と向き合ってきた、うつ夫の努力の結果である。
本来なら、嫌な記憶からは逃げたいはずだ。しかし、どんなに逃げたくても、「過去魔神」は突然やってきてしまう。だったら、「過去魔神」とつき合う他ないのだ。
フラッシュバックが起こるたびに、内省を繰り返してきた。うつ夫が話せる時は、パニコも話を聞くようにしてきた。(話を聞くことぐらいしかできないのだが…)
そして、ある時うつ夫が「過去が変わった!」という名言を発したことがある。これについては、また機会があればシェアしたいと思う。(長くなりそうなので)
完全には癒えないかもしれないが、少しずつ心の傷が癒されてきている証拠かなと、パニコは感じている。
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