「断薬成功」
7年続いた服薬治療
さて、再びうつ夫のうつ病闘病期の話に戻ろう。
うつ病の治療法として主流なものが、やはり「抗うつ薬」である。うつ夫も7年程、服薬治療をおこなっていた。
抗うつ薬にも様々な種類があり、人によって適正不適正があるから、しっかり主治医と相談して選んでいかなくてはならない。
うつ夫の場合は、多い時で7種類ほどの薬を飲んでいた。
パニコも見せてもらったことがあるが、「そんなに飲まなきゃいけないの?」と思ってしまった記憶がある(汗)
それは、単にうつ症状を和らげる薬だけでなく、良質な睡眠を促す薬や、薬の副作用(頭痛や腹痛)を抑える薬など、本当に様々な種類の薬であった。
薬の副作用に悩まされた時期も
うつ夫は、主治医と相談しながら、その都度症状に合わせて薬を変えたり増減させたりしながら、治療をおこなっていたのである。
これは、とても繊細さが必要なことらしくて、一時うつ夫は副作用で激太りしてしまったし(メタボ数値に達するくらい(笑))、減薬に失敗して頭痛や吐き気に悩まされた時期もあったのだった。
それでも、7年が経ち、断薬に成功することができたのは、うつ夫のある意識の変化によるものだった。
「薬はサポート」と捉えること
その意識の変化とは、「薬はサポート」と捉えることである。
多くの場合、「薬は飲めば治る」と思ってしまうだろう。
これは、抗うつ薬に限らずの話で、パニコも風邪薬や頭痛薬を飲む際、「これを飲めば治る」と思って飲んでいた。
もちろん、飲めば症状が抑えられるのは確かなのだ。
だから、つらい症状を我慢して引きずるよりも、服薬して症状を楽にした方が賢明だと言える。
しかし、ただ飲むだけでは根本的には改善されない場合もある。
「症状を薬で抑える」それだけでは、一時的に良くなっても治ったとは言えないのだ。
そして、症状が出るたびに服薬をくり返すことになり、結果、ずっと飲み続けなければならなくなってしまう(汗)
そこで大切なのが「薬はサポート」という捉え方である。
薬で症状が和らいでいる時の過ごし方を考える
うつ夫に聞いたところ、「薬で症状を抑えながら、どう過ごすのか」が重要だと言う。
薬を飲んで今は楽だから…と、羽目をはずしたり、無理をしたりしていては元も子もない訳だ。
症状が重い時にはどうすることもできなくても、症状が和らいでいる時なら、きっとできることがあるだろう。その時の過ごし方が大切なのだと。
下の図は体調(気分)気分の波を図解化したものである。うつ病中は良い時と悪い時の落差がとても激しい。
(余談ではあるが、この波はまるで株やFXのチャートのようだ(笑)その波を把握しない限りは、良い結果は生まれないのである。)
うつ夫が良好期に心がけていたことは、まずは「規則正しい生活」だ。
・バランスの良い食事を心がける
・アルコールは控える
・規則的な生活リズムをつくる
・気分のいい日はリハビリデート
・リラックスできることをする(入浴・散歩など)
・適度な運動を取り入れる
これは、言葉で言うのは簡単だが、習慣をつくるのはなかなか難しいことである。
さらに、この規則正しい生活をベースに、「こころの整理」もおこなっていた。
例えば、自分の思いを日記や言葉に乗せてアウトプットすることで(認知行動療法)、自分の心の癖や本来の気持ちに気づけるように心掛けていた。
また、読書などをして、自己評価法や感情整理法など心の整え方を自分なりに学んだのだった。
そうしているうちに、少しずつ体調の波も気分の起伏も小さくなっていき、最後の1、2年は、減薬がとても順調に、かつ急速に進み、ついには断薬することができたのである。
つまりは、服薬だけに頼るのではなく、「薬が効いてる時間をどう活かすか」が重要なのだ。
主体は自分であるということ。
今回は、うつ夫の断薬成功談の話をしたが、これは、他のどんなことにも通ずる話だとパニコは思うのだ。
私たちは何かに取りくむ際、結果を得るためにツールを活用することがある。
今回の話なら「薬」ということになるが、例えばダイエットなら「ダイエット器具」を購入したり、資格取得なら「セミナー」に通ったりするわけだ。
そうしたツールはあくまでもサポートであり、必ず結果に結び付くという訳ではない。
(パニコも以前、美脚グッズを購入したが、結果を得られないまま収納棚の奥で眠っている(笑))
つまり、「これをすれば必ず結果が得られる」ということはない訳で、やはり自分のあり方が大切なのだと考えさせられた。
ツールは大いに活用するべきだが、それに依存してしまっては本末転倒である。
どんな時も、主体は自分であり、ツールを活かすのもきっと自分次第なのだ。
そんなことを、うつ夫の断薬成功談から、学んばせてもらったパニコなのであった。
※この記事は、減薬や断薬をすすめる内容ではなく、あくまでうつ夫とパニコの経験から学んだ考え方のお話です。勝手に減薬や断薬をするのは大変危険ですので、必ず主治医にご相談ください。