前回に引き続き、サラリーマンデビューしたうつ夫の、会社での奮闘ぶりを記していく。
うつ夫は、もともとコミュニケーションに対して苦手意識が強かった。
そんな彼だからこそ、あえて意識的に心掛けたコミュニケーション術によって、職場に小さな変化を起こしていく、そんなお話である。
情報共有の希薄さはトラブルのもと!
うつ夫が会社という組織に入って、最も悩みの種となったのが、社員同士の情報共有の希薄さであった。
その会社は、なんと、マニュアルや社員教育システム的なものが、全く存在していなかったのだ(汗)
そのため、情報は上司から部下へと、言わば伝言ゲーム式で伝えるような形だった。
伝言ゲームは、きっと誰もが子どもの頃にやったことがあると思うのだが、完璧に最後の人まで伝えるのは意外と難しいものである。
どこかで少しずつ変化し、最終的に伝わる内容が違ってしまう。
増してや、こうした会社の情報伝達では、個人の重要視する点や解釈の仕方などが異なるのだから、正確な伝達が難しいことが想像できるだろう。
だから、新入社員であるうつ夫に届けられる情報は、若干違っていたり、どこか抜け落ちていたりするワケだ(汗)
そうなると、やはり様々なトラブルが生じてしまう。
部長と課長、もしくは先輩社員とで、指示内容が違うということが頻繁にあったようだ。
意見に耳を傾けてもらうために、心掛けたこと。
そんなこんなで、うつ夫は何とか情報共有の重要性を伝えたいと考えたのである。
しかし、新入社員の意見など、なかなか耳を傾けてもらえるものではない(汗)
また、今までにない考え方をただ伝えるだけでは、「批判の的」になってしまうことを、うつ夫自身経験により知っていた。
(そういう経験が、過去にうつ病を引き起こしてしまった原因のひとつでもあったのだ…。)
そこで、うつ夫はあることを実行してみることにしたのだ。
それは、「雑談をする」ことである。
うつ夫が、コミュニケーションについて悩み、模索してきた中でたどり着いた方法だ。
その職場は、社員同士であまり雑談が交わされることがなく、挨拶すら希薄だったようだ。
うつ夫が受けた印象を聞けば、休憩中やミーティング中はまるでお通夜のようだったとか…(笑)
そんな中で、うつ夫はめげずに挨拶と雑談を心掛けて過ごしてみたのである。
例えば、休憩中に同僚に趣味の話をしてみたり、仕事終わりに度々上司に声を掛け、気づきをシェアしてみたり…、という具合である。
雑談が信頼関係をつくる!
雑談の心掛けは、コミュニケーションに苦手意識のあるうつ夫としては、相当な努力が必要だっただろう。
しかし、雑談が信頼関係をつくるために重要であることは、うつ夫自身、強く感じていたのだった。
信頼関係が無いまま、意見を伝えようとしても受け入れてもらえない。
相手のハートを開くためには、意見を言う前に、お互いがどんな人なのか、どんな考え方をしているか、ある程度知っている必要がある。
そのためには、雑談が非常に重要なのである。
職場に生まれた変化
こうして、うつ夫は数カ月かけて雑談を心掛け続けた。
そして、その雑談に交え、少しずつ情報共有の重要性についても吹き込んでいったのだった。
その小さな努力の結果、職場にちょとずつ変化が生じはじめた。
うつ夫がよく雑談をしていた人の中から、「情報共有を大切にしよう」ということを口にする人が現れ出したのである!(まさに、刷り込み効果だ。)
そしてついに、それまでは無かった、ホワイドボードを使った情報共有の方法が取り入れられた。
それにより、口頭だけでは無く、全員が同じ情報を視覚的に確認できるようになった。
またさらに、マニュアルを作ろうという動きも起こり始めたのだとか!
(これに関しては、残念ながら、うつ夫はケガにより退職せざるを得なくなってしまっため、見届けることはできなかったのだが…)
これらは、一見小さな変化ではあるが、職場のあり方を改善するための大きな一歩だったのではないだろうか。
もちろん、うつ夫一人の力だけではなく、様々な環境要因やタイミングが重なっての変化だったのかもしれない。
しかし、少なからず彼の地道な努力が、じわじわと影響を与えていたことは、間違いないだろう。
我が夫、うつ夫の尊敬できるところ
この話を、パニコは都度うつ夫から聞いていた。
そして、本当に我が夫に頼もしさを感じたのであった。
ずっと、コミュニケーションについて悩んできたうつ夫だったが、そのお陰で、模索し学んできたことを、今実践に移し、ちゃんと生かしている!
それってスゴイことだなぁと思うのだ。
正直、うつ夫はパッと目立つタイプでもないし、人を引っぱっていくタイプでもない(汗)
でも、こうやって陰ながら周りをサポートし、影響を及ぼすことができる人なのだ!
まさに、縁の下の力持ちとなれる人なのだろうなと実感した。
あいにく、こうした陰ながらのサポートは、周りの人に気づかれず評価の対象にならないことも多いのが残念なのだけど…(汗)
(負けるな、うつ夫!パニコはちゃんと見ているよ(笑))
しかし、そんな我が夫に、改めて尊敬の念を抱いたパニコなのであった。
次回に続く。