引き続き、うつ夫が会社で奮闘した様をここに記していく。
うつ夫が会社勤務中、最も心を配っていたのは「周りの人と、どうコミュニケーションを取るか」ということだった。
前回は、「雑談」について触れたのだが、その中でさらに心掛けていたのが「共感」である。
コミュニケーションには「共感」が必要?
もとはと言えば、うつ夫は「共感」があまり得意では無かった。
というのも、うつ夫は、「様々な観点があった方が、話が広がっておもしろい!」という考えの持ち主なのだ。
だから、「共感する」ことよりも、むしろ違う考え方を探すことに意識が向いてしまうことが多かった(汗)
しかし、人によっては、自分の意見とは違う意見を相手に言われたら、何だか批判されたような気持ちになることもあるものだ。
パニコの場合はそうで、自分が言ったことと相手の意見が違うと、自分が間違っているようで不安な気持ちになってしまう(汗)
それで、度々うつ夫とケンカになることも以前はあったのだ。
よく、女性は「共感」が得意だが男性は苦手、ということが言われているが、確かにそれも一理ありそうだ。
しかし、うつ夫は、コミュニケーションのあり方を学ぶ中で、少しずつ「共感」も必要であると考えるようになっていったのだった。
「共感」と「同感」の違い
ちなみに、「共感」と似たような言葉に「同感」という語があるが、「共感」と「同感」とは少し違っている。
「同感」が「私のあなたと同じ意見です」ということだとしたら、「共感」は「あなたの言ってる事(気持ち)分かります」ということだ。
つまり、「共感」するということは、決して相手と同じ意見にするということではないのである。
そう考えれば、「共感」のハードルがぐっと下がるだろう。
「共感」とは相手を認めること
相手と意見が異なるのは当然のこと。
たとえ意見は違っていても、「あなたの言っていること、あなたの気持ちは伝わっていますよ」と示すことが、きっと「共感する」ということになるのだ。
それによって、相手に「あなたを認めています」という気持ちが伝われば、相手もハートを開いてくれる。
そして、きっと好意的に、自分の意見にも耳を傾けてくれるはずだ。
「共感」が相手のハートを開く
不思議なもので、この「共感」が有るか無いかによって、相手の心が開くか閉じるかが大きく変わる。
「共感」は相手のハートを開くための鍵とも言えるだろう。
このことを知ったうつ夫は、雑談の間、できるだけ相手に「共感する」ことを心掛けてみたそうだ。
例えば、「その考え方いいですね!」とか「そういう考え方もあるんですね!」というように、一旦相手の投げた言葉のボールをキャッチする心掛けだ。
その後で、自分の意見も添えて投げ返すのである。
それにより、少しずつ、周りと打ち解けはじめ、うつ夫のちょっとした意見にも耳を傾けてもらえるようになっていったのだった。
こうした、うつ夫の人知れぬ心掛けは、少しづつまわりに波紋を広げていく。
決して影響を及ぼす力は、大きな権力だけでない。
このような小さな努力も、継続すれば周りに影響を与える力になる。
うつ夫の姿から、そんなことを教えられたパニコであった。