パニコは以前、パニック障害になった経験がある。
その直接的なきっかけは肉体的な過労だったのだが、パニコの場合、根本的なところで心の癖が大きく起因していたと思う。
これについてはこちらの記事で↓↓↓
しかし、そこまで症状が悪化する前に、何とか自力で克服することができたのだった。
その理由は「呼吸法」の実践にある。
本日は、そのことについて、少しシェアしたいと思う。
(※これは、あくまでも個人の一例である。)
呼吸がパニック障害の克服に役立った
パニコは、20歳ごろから、ずっとヨガをやっている。
しかし、はじめた当時は、「痩せるかな?」くらいの気持ちで、全く呼吸法などに興味を持っていなかった(汗)
けれども、何となくでもヨガで呼吸法を習っていたことが、後にパニコを救うことになったのである。
それが、パニック障害を克服するために大きく役立ったからだ。
今振り返ってみれば、当時は呼吸が心の安定につながることを頭で理解してはいなかったが、ヨガを通じて身体がそれを知っていたのかもしれないなと思う。
だから、あの時、ふと呼吸に意識を向けることができたのだろう。
ふと呼吸に意識が向いたら…!
当時パニコは、仕事で数回、過呼吸になって以来、度々「予期不安」に襲われるようになっていた。
狭くて暗いところ、窮屈な人混み、響くような音…。
それらを引き金に、「また苦しくなるんじゃないか…」という不安が生じ、さらなる恐怖心に呑み込まれていく。
そして、パニック症状を引き起こしてしまうのだった(汗)
しかし、ある時、予期不安が起こり、恐怖心に呑み込まれそうになった時のことだった。
ふと、呼吸に意識が向いたのだ!
心拍数が上がり、息苦しくなっていく中でも、できる限り「ゆっくり吸って、ゆっくり吐こう」という意識が働いた。(ヨガのレッスンで、いつもそうしているように。)
その時、パニコは不思議な発見をした。
それまで、「怖い」「苦しい」「死んじゃう」というネガティブな思いで心がいっぱいだった(と思い込んでいた)のに、その中に(ほんの少しではあるが)「私、呼吸してる」「まだ生きてる」と、冷静に今の状況を見つめている自分がいることに気づくことができた。
本当は、いつだって冷静な自分はそこにいるはずなのに、不安と恐怖にかき消され、見失ってしまっているだけだったのだ。
それは、いつも太陽はそこにあるのに、すっかり雲に覆い隠されてしまっているのとよく似ていている。
そしてその時、そんな自分に対して「あれ?私意外と冷静じゃん。」と、さらに客観的に自分を捉えている自分にも気がついた。
その瞬間、不安と恐怖のいくらかが、すぅーっと引いていくのが分かった。
それは、パニコにとって、とても不思議な感覚だった。
はじめて客観的に自分を捉えた(ことに気づいた)瞬間だったのかもしれない。
その客観性が、とても重要なことであると理解するのはまだ先の話になるが、とにかく「呼吸に意識を向ける」と落ち着くことを知ったパニコは、それ以降、不安に襲われるたびに、呼吸、呼吸…と思うようになった。
そして、何とか冷静な自分にしがみつき、不安と恐怖の波に呑み込まれないで済むようになったのである。
このようにして、パニコはパニック障害が悪化する前に、自力で克服することができたのだった。
当時、呼吸法を知っていたのは、まさに幸運だったと思う。
呼吸は現実とつながる最適のツール
後にパニコは、ヨガやマインドフルネスを学ぶことになるのだが、そこで初めて「呼吸と心の落ち着き」の関係ついて知ることになる。
また、「気づき」や「客観性」の大切さも少しずつ理解に変わっていった。
「呼吸」とは、今この瞬間のできごとである。
つまり、何よりも現実のできごとなのだ。
それに対し、「不安」は、現実にはまだ起こっていないできごとだ。
「あの時も苦しくなったから…」
「また今回も苦しくなるかも…」
そんな、過去や未来から来る不安は、言うなれば、ただの妄想であり、非現実的である。
それなのに、そんな非現実的な妄想に、踊らされてしまっているわけだ(汗)
呼吸は、「今・ここ」という現実に意識をつなぐための、最適なツールなのである。
それゆえ、マインドフルネス瞑想の最もシンプルな方法として、「呼吸に集中する」ことが用いられている。
目の前の現実「今・ここ」に心がつながっていれば、それ以外の余計な妄想に心が囚われにくくなる。
不安の波も、静まっていくのである。
だから、冷静になり、心が落ち着いていく。
これは、心をコントロールするために、効果的なテクニックだったのだ。
呼吸を整える。
それ以来、パニコは、いつも呼吸を整えることを大切にしている。
呼吸を整えれば、心も身体も自然と整っていくことを、身をもって体験したからだ。
そして、その確信がパニコを安心させてくれるのだった。
いつも無意識的にしている呼吸。
当たり前すぎてその大切さに気づきにくいけれど、それは人の生命力と言っても過言ではない。だって、人は生まれた瞬間から死ぬまでずっと呼吸をしているのだから。
それは、自然に備わった素晴らしい力であり、内側からの癒しのリズムでもある。
呼吸に集中し、整えること。
たったそれだけで、心の状態が大きく変わる。
このことは、パニコの人生において重要な発見となった。
そして、パニック障害の経験がそれを教えてくれたのだった。